区議会 第3回定例会 関口江利子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。
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令和6年第3回区議会定例会・一般質問
2024年9月19日(木)関口江利子
はじめに、世田谷区のほぼ中央部に位置する元財務省用賀住宅の跡地「上用賀公園拡張計画地」についてです。昨年11月、地域住民とのワークショップや意見交換会を重ね、基本計画が策定されました。既存樹林の保存やスポーツ施設の整備、防災の重要な拠点として位置付けられることが記されています。
昨年7月から、暫定利用として「上用賀4丁目広場」を一部整備・地域に開放しているほか、これまで5回のオープンパークを開催しています。しかし、ほとんどの期間、計画地は柵で閉じられた状態で、公園の全面開設は2031年以降です。そこで、①開設前の可能な期間、いざという時の災害時に利活用できないでしょうか。区の見解を求めます。
次に、一般廃棄物処理基本計画についてです。8月に「清掃・リサイクル事業の今後の見込みと方向性」が示されました。事業の計画立案や指導・啓発など区の清掃職員が担うべき業務が示される一方、区民と直接関わりを持つごみの収集業務の担い手は民間事業者へ移行していくとあり、今後の影響を危惧しています。
1月に、ごみ収集を体験しました。近所の方が、「おはよう」「ご苦労さま」など声をかけてくれる、不分別のごみを的確に仕分ける、道路はもちろんのこと家庭ごとの特徴の把握もされているなど、地域を知り地域に根差した仕事だと感じました。また、2019年の多摩川氾濫の水害ではこのような現場を熟知した区の職員が迅速に災害ごみの処理にあたったと聞いています。一方、1月の能登半島地震の際、収集業務を民間事業者が担っていた自治体は指示機能が弱く、災害ごみの対応に遅れが生じたそうです。災害時等における自治体清掃職員の有用性は大きく認められているところだと思います。
災害時の対応や高齢化による個別ニーズの高まり、今後の分別収集への転換と山積する課題にあって、人手不足の中、貴重な区の職員を減らし民間事業者へ移行していく方向性には疑問を感じます。現在、区の清掃職員の約87%が50〜60代という年齢構成となっており、定年退職等で急激に人手不足に陥ることは明白です。①「世田谷区一般廃棄物処理基本計画」に区の職員が果たす役割について明記し、10年間の計画の中で位置付けていくことを求めます。また、②地域に根差した現場対応力を衰退させない体制づくりと、柔軟な人員確保について見解を求めます。
この間、気候変動対策に係るサーキュラーエコノミーの実践やプラスチックの資源化、ペットボトル等の削減を求めてまいりました。区の率先行動を示すとの答弁をいただいているところですが、各関係所管との積極的な連携による共通施策も効果的と考えます。③少なくとも2050年までにCO2排出を実質0にするという目標へ向かって、それぞれの課題を横断的につなぎ、取組んでいくことを「世田谷区一般廃棄物処理基本計画」で示すよう求めます。(871)
次に、学校での子どもを中心にした支援体制についてです。学校に通うすべての子どもに生じる可能性がある配慮、たとえば、発達、国籍、性別や性自認、貧困や虐待、身近な人の疾病や死などの個別の背景と、それによって生み出される不登校やいじめ、インターネットや薬物への依存などには、子どもを中心にしたチームでの支援が必要だと考えます。本日は、切り口の一つとして、発達に伴う配慮が必要な子どもについて質問します。
現在、発達の段階で支援を必要とする子どもの学びは、特別支援学級と特別支援教室「すまいるルーム」を軸に行われています。「今後、子どもの人数は減少傾向だが、特別支援学級とすまいるルームを希望する児童は増加していく」と、「特別支援学級等整備計画(素案)」でしめされ、長期的な目標として全小中学校に特別支援学級を設置すると明記されたことは「地域で学び・育つ」観点から評価します。
一方、特に低学年時において、通常の学級で仲間に支えられながら学びが得られることは、支援を必要とする子どもだけでなく周りの多くの子どもへ良い影響を与えます。子ども本人の希望と特性を汲んだ学級に籍を置くこと、通常級との日常的な交流を取りつつ、成長に合わせて変化する共同学習のニーズについて保護者と連携を取りながら柔軟に対応していただきたいと思います。
学校での環境を整えていくことが、障がいがあってもなくても子ども同士のつながりを生み、住み慣れた地域で安全に育っていける、また保護者同士も子どもの特性に関係なく緩やかなつながりの中で、安心して子育てができることになります。
さて、ここで特別支援教室「すまいるルーム」で起きた事例をひとつ紹介します。今年度、小学一年生の児童が、5月の連休明けからすまいるルームに通い始めました。しかし、すまいるルームのある日には登校を嫌がるほどになったため、6月末で退級に至ってしまいました。確認をしたところ、早い段階で子どもの支援について話し合う「校内委員会」が開かれており、個別指導計画の変更が決まっていましたが、対応する前に退級してしまったとのことでした。なぜか?個別指導計画の変更に係る話し合いが行われていたことを保護者はまったく知らなかったからです。また、時間通りに行動することが苦手なこの児童へタイムトライアルで指導をしたようですが、時間を測って追い立てられ、出来ていないことを責められると感じた児童は、すまいるルームに恐怖を感じてしまいました。特性を踏まえた指導は慎重に観察をしながら行うべきであり、個別指導計画に基づく指導に捉われすぎず、本人をみて柔軟に対応する視点が欠けていたのではないでしょうか。
すまいるルームは、通常学級でのスムーズな学びをサポートすることを目的としていますが、「みんなと同じようにさせる場」ではないと考えます。この事例から、①児童のつまづきへの感度を上げること、迅速な対応を行うこと、保護者とのコミュニケーションのあり方など、校内委員会が「子どもを中心にしたチーム支援」へと強化されていくことを求めます。同時に、教育委員会として②事例検討の効果的活用と、社会福祉士や作業療法士など専門家がアウトリーチで各学校へ密に関わり支援していく体制が必要と考えますが見解をお聞きします。
最後に、介護・子育て支援を安定的に提供する人材確保についてです。
介護保険サービスの中でも訪問介護は、多くの人が安全と感じる「自宅」で予防段階から看取りまで生活を支えることができます。本年4月、8回目の介護報酬の改定で訪問介護の報酬引き下げが行われました。厳しい結果に、世田谷区でも「介護人材確保のため実効性のある賃金引き上げ策の実施を求める陳情」が3,305名の署名とともに上程されています。先日、福祉保健常任委員会で世田谷社会福祉事業団の経営状況について報告がありました。報酬の低い生活援助が多くを占める「介護予防・日常生活支援総合事業」は、他の事業者が受けないので事業団に集中し、訪問事業全体の1/4を占めるが、それでも全ては受け切れないという衝撃的なお話でした。実入りの悪い商品は切り捨てるという一般企業では当たり前の経営判断も、命に直結する公共的意義の高い福祉サービスでは決してやってはいけないことです。
この度、世田谷区が補正予算を組み、独自に給付金を実施しようとしていることは多いに評価いたします。一方で、単年度の取組みでは、根本的な解決には及ばないことも指摘しなければなりません。介護保険は国の事業だからという大義名分にあっても、地方自治体から行動を起こし、介護サービスの絶対量を維持させなければ本当に立ち行かなくなります。①このたびの給付金の効果を把握して継続的な次の一手に活かしていただくことを強く求め、区の見解をお聞きします。
また、子育て支援として、児童虐待予防事業の産前・産後ケアには、訪問介護事業者等がアウトリーチ型で支援に入っています。ただ単に家事と育児の支援に入るだけではない専門性を要する支援ですが、現状、報酬は介護保険の生活援助並みとなっています。②安定的で質の高いケアを実施するために、報酬の引き上げ改善が必要と考えますが区の見解をお聞きします。
以上で、質問を終わります。